全手動かんそうき

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とんねるずのみなさんのおかげでした 2018年3月8日放送回 感想

いよいよこの番組もフィナーレが近づいてきた。
近年はさほどチェックしていなかったものの、アラフォーの元テレビっ子としてはあまりにも思い入れの強い番組による、その思い入れを刺激しまくりの放送回。
そんなん観てしまい、思わずほぼ1年ぶりにこちらのブログを稼働してしまった次第。


前半はコントヒストリーと題して『仮面ノリダー』をはじめとする、番組の主に前期を彩ったコント名場面集。

これがまあ、懐かしいのなんのって。
まんまと熱心に観ていた頃の記憶が蘇ってきて、笑ったり、往時のこの番組の勢いに改めて驚いたりしつつも、遠い追憶にしみじみとしてしまったり。

そういえば小学生だったあの頃、クラスの大半がみなさんのおかげですを最も好きなテレビ番組に挙げていた。
子供たちは、決して内輪ネタ満載のナンセンスコントとしてではなく、ひとつの物語として仮面ノリダーに熱狂し、休み時間には『仮面ノリダーごっこ』が行われていた事実は、当時を知らない人には信じられないのではないだろうか。

あと若い頃の宮沢りえの超絶可愛さときたら。
あの子が人気絶頂の18歳当時に裸になって、その写真を普通にテレビ番組で流していたというのだから、現在とは隔世の感がある。
余談だが、当時何かのクイズ番組で「宮沢りえが股間を隠している手は右手と左手どちらが上でしょう?」という問題があり、そのおかげでいまだに自分はあのポーズを正確にマネすることができたりする。
(正解は左手のはず)

あのノリさんの死亡コントは、子どもながらにさすがにジョークだろうとわかって見ていたが、確か15〜20分ぐらいは引っ張ってて「え、まさかマジじゃないよな……?」と薄っすら思いかけてきてのノリさん登場にホッとしたのを覚えている。
アレは確かに当時ものすごい話題になった。

まあ尺や諸事情などにより、他にも観たかったのに入っていなかったコントも無数にあったのはやむを得ないところか。
とりわけ、宮沢りえやチェッカーズと並ぶ番組全盛期の常連ゲストだったキョンキョンのバブルスコントや、ノリダーに次いでみんな楽しみにしていた『それいけマサカズ』は観たかったなあ。
 


そして番組後半に大目当て。
とんねるずによる最新の、そして(少なくともこの番組においては)最後のコント『北の国から番外最終話 したの国から 2018年早春』

みなさんがゲストとメシを食い、若手芸人と遊ぶ番組になってもう何年経つだろう。
既にとんねるずはパフォーマーとして現役でなく、この新作コントも、ヘタをしたら老害感溢れるものになっていやしないかと危惧もしていたのだが、何とも失礼千万な杞憂だった。

二人のキャラ作りの上手さ、軽快さ、そしてエネルギーはまるで衰えておらず、何でもありのようでいて決して破綻はさせないギリギリのところで楽しみ、楽しませてくれる。
ひと言で言うと、最高のコントだった。
そうだ、これがとんねるずのノリなんだよと、どんな達者な芸人さんでも他には作り出せない世界を大いに楽しませてもらった。

ちなみに、演者5人は全員良かったが、とりわけ目を惹いたのは渡辺満里奈の好演。
この人自体、今やバラエティ出演、ましてとんねるずとコントだなんてとてつもなくレアなことであり、よくぞ出てきてくれたスペシャルゲストと言ってよい立場なのだが、その役目は宮沢りえに譲り、自身は迎え入れる側の役割に違和感なくまわれることがなにげに凄いなあと。
決して、若い頃のマリナさんであれこれ妄想した経験があるがゆえの過大評価ではあるまい。

期待以上に素晴らしいコントを楽しむことができたが、一方で胸が詰まるような感覚もあった。
正直、ちゃかしながらもこちらを泣かせにかかってきた石橋の長台詞はさほど響かなかった。(おまけ映像での言葉はかなり響いた)
むしろ、画面が楽しければ楽しいほど、どこか切ないような気持ちもしてきて。

劇中で純がハゲているというネタがあったが、石橋貴明も、木梨憲武も、渡辺満里奈も、宮沢りえも、随分年をとった。
そしてそれは、ブラウン管の前でワクワクしてこの番組を観ていたかつての少年も同じことである。
世の中は無常。時の流れは止められない。
 


視聴後にネットでザッと観たところ、やはり総じて今回の放送は好評で、終わるのを惜しむ意見がこれまでより俄然増えた様子。

が、もし番組を原点回帰のコント番組として存続としたところで、クオリティを保つことは可能なのだろうか。
もちろんやってみなければわからないのだが、おそらくは難しいんじゃないかと思う。

思えば皮肉な話ではあるが、番組終了ということになったからこそ、港浩一演出で、とんねるず・渡辺満里奈・宮沢りえ出演のバカバカしくも最高のコントは生まれたのではないかと。

最後に打ち上がった特大の花火。
エンドマークに拍手して、ああ良かったなあと余韻に浸りながら、どうしようもなく切ない気持ちを抱かせてしまうことは、とんねるずの本意ではないとは思うのだが。


番組は今回が最終回というわけでなく、あと2回か3回はある。
ラストコントというメインディッシュを披露した後、何を見せてくれるのか。
かなり前から囁かれている、ダウンタウンとの共演なんかもあったりするのか。
まだまだ興味と期待は尽きない。

とりあえず、来週全落で1週使っちゃうのがもったいないなあなんて思ったりもしつつ。

冴えない彼女の育てかた♭ #3「初稿と二稿と大長考」感想

大きく本放送に遅れをとっている当感想記事。こういうのは放送翌日ぐらいにはアップして、送り手受け手ともに盛り上がれるのが理想系なのは自明の理。
とはいえ、今から追いつくのはなかなか厳しい。せめてこれ以上離されないよう、そして自分と同様遅れて視聴している方や何周も観る方にとってグッドタイミングなものになると嬉しいなあと思ったりしつつ。

◎アバン

波島兄妹との対峙。
主人公を慕っていた後輩が、闇堕ちして敵に回る的な緊迫感溢れる場面。加藤はどこ吹く風で、一人だけ画面効果も及ばない模様なのがいちいち面白い。

なお、この手の展開は類例がいくらでもある筈だが、何故か最初に浮かんだのが、R.J.7に混ざってた浦辺で、その次が夢の超人タッグ編だったあたり、いかにイイ歳こいたオッさんがこのブログを書いてるかが知れる。

◎Aパート

場所を変え、公園で高校生が言い争いしたり、キャットファイトしたり。
なかなか日常とはかけ離れた光景ではある。

相変わらずマイペースの加藤は、若干距離をおいておしるこを啜って。
なお、みんなで仲良く同じものを飲んでいた模様。

推測だが、アバンで波島妹が「寒くなりましたね」と言った後に、兄が「みんなでホットしるこでもどうだい? 」と振舞ってくれたのではないだろうか。いいやつ。

出海を巻き込む伊織を許せない倫也を許せない英梨々が蹴りを入れたり、後頭部にデコピン(?)をしたり。
これを可愛らしいと感じるかうざいと感じるかは議論が分かれるところか。

そんな英梨々は己と対決するために敵に回った出海と、言葉の応酬からの肉弾戦。
ギャグっぽくポカポカの叩き合いとしていたが、絆創膏が必要になるほどの殴り合いなんて実際は相当えぐかったと思われる。

かくして。
blessing software 対 rouge en rouge
安芸倫也 対 波島伊織
柏木エリ 対 波島出海
という対立構図が出来上がる。

シナリオ担当の霞詩子に対抗できる持ち札はなかろうと自信満々の倫也に、不穏な台詞もとい優しいヒントを投げかけてくれる波島兄。何というか、初登場の時からだが、倫也とこの人の間には友情めいたものしか感じない。


学校の教室にて改めてシナリオを読み耽る倫也にカレーパンとコーヒーを買ってくる加藤。小銭入れを受け取り、必要な金銭を取り出すその熟練夫婦のごとき姿に、友人Aことヨシヒコ君も若干引き気味。
前回の合鍵といい、本人の意識のほどは不明だが、着実に正妻の座につきつつあるのだなあと、思わず目も細まる。

倫也は、ただでさえどちらのシナリオを採用すべきか悩んでいたところへ、波島兄の言葉を聞いて、更に考え込む。
何度読んでも神シナリオ。が、気に食わないヤローではあるが、見る眼は確かな男がシナリオでは負ける気がしないと断言した、一体どういうことなのか……
敵対しつつも波島兄の眼と言葉にはきっちり信頼を置いているあたり、やはり妙な形ではあるが友情だなあと。


一方、加藤は詩羽の呼び出しを受ける。倫也の動向を気にしてもじもじしている詩羽は、加藤が言うには「何だかリアクションがいちいち可愛くて、霞ヶ丘先輩らしくない」様子。
どうやら詩羽は2つのシナリオに何らかの想いを託しているらしいが……

余談だが、このシークエンスでは、学園祭の準備にいそしむ生徒たちの姿が描かれている。(主人公たちはそれにはノータッチだが)
こういう青春の輝きみたいなのって、何というか、見ていて心が押しつぶされそうになるので、気を強く持たないと見ていられない。


都電での帰り道。今度は加藤がシナリオと睨めっこし、詩羽が込めた意味を読み解くべく専心する。
倫也の「いつものフラットで投げやりな加藤らしくないぞ」という言葉には「えっと、認識が間違ってる上に、実際そうやってデリカシーのないこと言われるとムカっとくるよね」と、やはりフラットな感じで応接。
前の場面で、詩羽が加藤に返した「間違ったことは言っていないと思うけれど、実際そうやって身も蓋もないことを言われると腹立たしいわね」という台詞と対をなしていて面白い。

結局のところ、ゲームとしてプレイしてみなければわからないとの倫也の言葉を受け、加藤は男子の家への外泊を即決。
どちらのシナリオがより良いか、そしてどういう意味が込められているか、詩羽のメッセージを読み解くべく。
いつになく積極的な加藤。彼女もサークルのメンバーとして、やれることを探しているんだなぁと。
 



◎Bパート

一晩にわたる作業はCM中に終了。進行は捗々しくなく、空回りだったかと落ち込む加藤を励ましつつ「ゲームのシナリオはゲームで読まなくちゃ良いか悪いかわからない」と、どうやら核心ぽいことを口にする倫也。
そんな彼の言葉を耳に、眠りに落ちる加藤。そこにあるのは安心と信頼。コイツなら手を出して来ないだろう、という信頼かもしれないが。

しばしのお休みタイムを打ち破ったのは、今期テレビでは初登場の氷堂美智瑠。
相変わらずの暴力的なまでの肉感である。

勘違いして倫也を締め上げ、目を覚ました加藤が更に勘違いを誘発。
なお、テーブルでうたた寝した加藤をベッドに移したのは当然倫也であろうが、どうやったのか、お姫様抱っこでもしたのかと気になるところ。

チキンライスか何かの、グリーンピースをよけて食べたのは、ペットボトルの位置から見るに、おそらく美智瑠だろうと推測される。

実にどうでも良さげな一コマだが、こういうところでサボらずキャラクター性を表現するのは大事なこと。

美智瑠来訪という機を逃さず、icy tailメンバーを呼び出させる倫也。世の中には、バンドメンバーに集合をかけ、音楽活動と関係のない雑作業に長時間従事させるというブラックマネージャーが存在するらしい。
哀れ、彼氏とのデートをキャンセルさせられるエチカ。ウルトラブラック。

それにつけても、女子ばかりが入れ替わり立ち替わり出入り・宿泊していて、両親は高校生の息子のことを色んな意味で心配にはならないのだろうか?
そもそもああいう部屋が出来上がってる時点で、普通の親なら頭抱えて然るべき。
理解と信頼があるのか、無関心か。まあ家出してきた美智瑠を居候させるあたり、きっとこの子にしてこの親あり、みたいな変わった人ではあるのだろう。おそらく登場することは無いと思われるが。


所変わって、英梨々の家に必要なPCを借りにきた加藤。
そういう素振りは見せなかったものの、どうやら原画の方は順調とは言えない様子。

チームでの作品作りとはいえ、己の担当においては孤独な戦いであることが偲ばれる。


安芸家での夜を徹しての作業。
大変そうでもあり、どこか楽しそうで羨ましくなるような、経済活動とは関係ないところでの、仲間たちで取り組むお仕事。
Aパートで差し込まれていた学祭準備とリンクしており、もうこういった経験をする機会は永遠に無いであろうオジさんの胸を締めつけてくる。

ここでの美智瑠は、完全にドラクエでいうところの遊び人、電気グルーヴがN.O歌うときのピエール瀧といった役回りで、作業においては全く役に立っていない。
そんな奴が、差し入れに真っ先に飛びつくというのは世の常。

チームにおいてはこういう存在が割と重要だったりする。
そして、こういう人は自分の能力が発揮できる段になると、俄然人が変わったように無双の働きを見せたりするもの。音楽担当として輝きを見せてくれるのを楽しみにしたい。

週末を徹しての作業を終え、出来上がったゲームをプレイしてみて、倫也は愕然。何かに気付いた模様。

まあ、これは確かに……という感じだろうか。
 



◎Cパート

学園祭当日。ちゃっかりステージでライブなんてやってるicy tailさんなど盛り上がりを見せる学舎の屋上、倫也はディレクターとして、シナリオ担当の詩羽に向き合う。

答えを待つときの詩羽の表情。何を意味するのか、どんな答えを待っているのか。

赤でびっしりダメ出しが書かれたシナリオを取り出し、倫也は冷徹に告げる。

「どっちも選べない。リテイクだ。クソゲーだよ、これ」

◎所感

タイトルでは大長考といってるものの、考えるより行動! で立ち向かうのは若者らしくてとても良い。
着地点もなるほどねと。何故ボツかは次回語られるのだろうが、まあ、優れた文学性も媒体によってはそれが邪魔になるんだろうなってトコですかね。

シナリオに、良し悪しとは別の意味を込めて選択を委ねた詩羽が、倫也の出した答えを受けて何を言うか、どうなってしまうか。

よくテレビアニメは最初の3話まで見て切るかどうか決める人がいるそうだが、ここで切ってしまうとかあり得るのだろうか。

冴えない彼女の育てかた♭ #2「本気で本当な分岐点」感想

具体的に何がってこともなく、なんとなーく忙しい雰囲気で過ごしていたところ、気づいたら前回の更新から1ヶ月以上過ぎており、録画もガンガン積まれてしまっている始末。

こりゃあかん、時間は作り出すもの。
世の中舐めプでも十分幸せに生きていけそうな美貌の女子高生作家が、朝方までゲームのシナリオを執筆して目にクマを作りながらも、男とのデートに臨む黄金の意志を見せてくれているのだ。
世間様からの需要など何ひとつ存在しない身の上としては、アニメ観て感想を紡ぐぐらいのことは、ちゃんとやってかなあかんなと。

◎アバン

朝方のシナリオ脱稿。
あー終わった、終わってくれた、疲れたー、寝れる、今から寝れるんだ、しっかし疲れた。そんな安堵の気持ちがよく伝わってくる。
そんな状態でも、プロデューサー兼最愛の人への連絡は怠らない女性作家の目にはクマができ、疲れた表情も妙に色っぽい。

若干のヤンデレ感なんかも演出しつつ、お兄ちゃんならぬ倫理くんに約束の確認。
 


◎Aパート

唐突な物語シリーズのパロで困惑させてくるから油断ならない。確かに詩羽とガハラさんは、見た目も中身も近似性はあると思ってはいたが。

余談だが、乏しい経験上、相手から持ち出されない限り本屋デートはやめといた方が良いと思う。

結局、物語シリーズ全巻という結構な荷物をお買い上げしジュンク堂的な店を後にする二人。大人買いできる財力羨ましい。
そして、椅子を立つときの詩羽のスカート直しのコマ数には敬意を表さずにはいられない。



一方、当然のごとく二人の動向を嗅ぎつけ、尾行しているストーカー女と、そいつに呼び出されてわずか30分でやって来た加藤。付き合いが良く、準備に時間のかからない良い女である。

ランチ中、倫理くんを誘惑するでもなく偽物語をむさぼり読む詩羽、食欲よりも性欲よりも知識欲らしい。大きな仕事を成し遂げた後は普通性欲な気もするが、一流は違うのだろう。

更に知識欲を満たすため、詩羽がリクエストした進撃の巨人やガッチャマン的な映画ではなく、「あの雪のプリズム」なるTVアニメの続編映画を鑑賞する二人と、後をつけるもう二人。
池袋で一度見失った尾行対象を見つける加藤の卓越した能力を、英梨々は「おいしいとこだけかっさらってく抜け目のなさ」と言い表す。割と核心をついているかもしれない。

ところで、ここでの各々の映画の感想はかなり興味深い。
演出やら作画やらキャラクターやらの良い部分を褒める倫也、その辺りは認めつつもシナリオの甘さを指摘する詩羽、自分の良いように解釈して号泣する英梨々。
詩羽が倫也に良いものは良い悪いものは悪いと言える目と勇気を持つように告げる重要シーンっぽいが、一方でこの辺りの各人の感性の相違は面白いもんだなあと。
きっと自分なりの感想はあるだろうに、特にそれを表すことはしない加藤も含めて。

人によっては生涯足を踏み入れることが無いであろう、夜景の見えるいかにも高級なレストランでディナーする高校生男女。
学内のヒエラルキーでは下位に位置づけられているであろう倫也だが、実は大抵のクラスメイトには及びもつかない体験を平気でこなしていたりする。

自分の仕事は終え、これからはなかなかサークルに顔を出せないかもしれない、進路も考えないといけないと、詩羽は切り出す。楽しかった夢は終わり、現実の時間。
遠くに行くか、近くに留まるか。眼前の相手に、どうしてほしいかと問う詩羽の可愛さときたら。綺麗よりも美しいよりも、このときの彼女は可愛かった。

勿論、ここでのやりとりに至っては、ストーカー兼賑やかしの者など介入させてもらえない。せいぜいブラひもサービスして存在をアピールするのが精一杯。

倫也の出した答えは「行かないでほしい」
この手の葛藤パターンでは、不正解とされることが多い(例・「君に届け」のケント)答えだが、当作品ではどうなのか。
自分の手に届くところに留めようとするということは、相手の可能性を潰してしまうかもしれないことである。それだけの覚悟が彼にはあるのだろうか。
「悪い倫理くんね」詩羽はどういう思いを持ってこう言ったのだろう。
そんなプロデューサー兼ディレクター兼最愛の人に、また一つの決断を委ね、帰ってゆく詩羽。電車の轟音にかき消された言葉は、届くことなく。
 


◎Bパート

翌日曜日の朝、安芸家にやってくる女子2名。
英梨々が、昨日加藤に選んでもらった服を着てくるあたり、個人的に彼女を序列4位においている身としても、ついついニヤついてしまうキュートさ。

ごく当たり前のように安芸家の合鍵を持っている加藤を目の当たりにし、激しく動揺する英梨々。
これって取りようによっては、女同士のえげつないマウンティング行為とも解釈できるよなあとか思ったり。

詩羽が出してきた改稿は、とても素晴らしい、とても泣ける、そしてメインヒロインが交代してしまい、作品全体の解釈もガラッと変わってしまうという、問題を孕んだ代物だった。
全てやり直し、これまで積み上げてきたものをすべてひっくり返してしまうようなものを提示され、文句を言いつつも、その出来は認めている英梨々のタコ口が可愛いことはさておいて。

シナリオ担当の詩羽が突きつけてきたこの問いに、プロデューサー兼ディレクターの倫也がどういう答えを出すのか……

そんな折、ライバル? キャラの波島兄妹が怪しく蠢動し、ホットしるこでも飲んで……

非常に興味を惹かれる形で次回に続いたわけで、3話を観たのが約1ヶ月後になってしまった慮外者はこのブログ主ぐらいのものであろう。

◎ED

妄想キャリブレーション『桜色ダイアリー』という加藤目線で作詞された歌にのせて、坂での出会いから始まった一期の名場面がやさしいタッチで描かれる。
うん、これ好き。

◎所感

全編詩羽とのデート回ってことにしてくれても良いほどに、連れ回される倫理くんを見るのは楽しかったが、それを前半で収めてしまい、いよいよ核心に向け動き出す物語って感じで、ついつい感想ブログも大長文になってしまった。

ひとつ難を言うと、前期から丁寧に描写はしてくれてるし、今回の話では熱く熱く語ってくれているものの、劇中ゲームの設定にイマイチのめり込めないところがあって、シナリオ改変、ヒロイン交代劇がそのまま流れていってしまってる感が否めないかなと。
その点、カレカノ(漫画)の14daysの舞台劇は凄かったなぁとか思ったり。

単に自分が散漫な意識で観ているだけなのかもしれんけど。

冴えない彼女の育てかた♭ #1「冴えない竜虎の相見え方」感想

竜と虎。霞ヶ丘詩羽と澤村・スペンサー・英梨々。決して犬と猿では無い。

ちなみに、どっちが竜でどっちが虎かというのは議論するまでもないだろう。
ライトノベル=ドラゴンマガジン
エロ同人=とらのあな
ということで。

◎アバン〜OP

今日も今日とて、作品の方向性?を巡り、きーきーくどくどケンカするクリエイターお二人。
なお、このとき英梨々が見せるプロット的なものをよく見ると、本編における詩羽と美智瑠の肉体的特徴の差異もわかるようになっていて興味深い。

そんな二人を見て、彼女たちがなんで仲が悪いのかなとか信じがたいセリフを臆面もなく口にする倫也に、難聴鈍感最低ウンコ主人公くんと言ってのける恵。
今回は、こんな日常に至る前の、この光景を成り立たせる背骨となる二人の出会いの話。

OPは物憂げなヒロインたち、澄まし顔で髪なんかいじっちゃって彼女らの内面やいかに、と思わせる。
扱いを見るに、今シリーズは英梨々がスポットライト浴びるのかなと。まあクレジット順でいえば正ヒロインなのだが。

そういや安芸くんOPに出てこないのね。まあ、物憂げなヒロインたちが想いを馳せているのは、きっと彼のことなんだろうなと、姿を見せずとも存在感は発揮しているが。
 


◎Aパート

一年前の出会い。
まだ作品を絶賛してくれる大好きな男の子としてのみ倫也のことを捉え、親密にしている詩羽に、因縁をふっかけてくる英梨々。強気に応戦する詩羽。
まあ冴えてるか冴えてないかでいえば冴えてない部類の相見えかたといえる。

同時に、英梨々は突如現れた憎き恋敵が、深夜3時過ぎまで夢中で読み込み、サイン会が締め切っていて落胆するほどに心を掴まれた小説の作者だったことを知り、複雑に煩悶。

一方の詩羽も、いきなりケンカ吹っかけてきて、しかもどうやら倫也とは因縁浅からぬ間柄であるらしい恋敵のことを知るべく、美術室のアトリエに凸撃して……
ところで、ここで異様な存在感を放ち、提供バックにも使われた妙に可愛い眼鏡っ娘美術部員に関しては、卑怯なやり口だなあと。(褒め言葉)


◎Bパート

朝の校門で詩羽の待ち伏せ。このシーンで、モブに加藤がいないか探してみたが見当たらなかった。
絶対こういうところで仕掛けてくると思ったんだが……この右上とかそうだったりするかな?

ともあれ、屋上で再び相見える二人。
エロ同人作家であることを看破された英梨々が、それをタテに陵辱地獄に落とされる妄想したりしつつ。
今度は恋敵としてのみならず、クリエイター同士としてもぶつかり合い、そしてお互いへの尊敬と共感が芽生えかける。

が、女と女の場合、食い物の恨み以上に、男絡みの恨みの方が恐ろしい。
すぐさまお互いに醜い罵り合い……それも、結局加藤恵の一強なのではと思わざるを得ないような内容のディスの応酬を交わしーーー
 



一年が経ち、ひょんなことから同じサークルメンバーになった龍虎は、今もなお安芸倫也を巡って火花を散らし、悪態をつきあっている。

が、その一方で、尊敬するクリエイター同士、ひとつの作品に取り組むという、最高に幸せな関係性でもあったりしていて。
ちょっとだけ素直になって、一年越しの念願だったお互いのサインをゲット。
ここで加藤が二人の想いを知ってか知らずか、一役買っているあたりも素晴らしい。


◎所感

エエ話だったなぁと。#0の感想でも書いたが、クリエイター同士が妥協し合うのでなく、尊敬し合って相乗してモノを作り上げていく姿こそがこの作品の魅力だなあと、改めてつくづく。
てか、構成的に、この回が1期の最終回なら綺麗だったんじゃないかなーと。
(原作未読なので、この回が1期終了後の発表とかだったらすいません)

まあ、ある部分では対立関係にあるメインキャラ二人の、根幹のところでの尊敬と信頼を初っ端に描くということは、今回のシリーズでは第三者と対峙しての共闘が多くなるか、逆にヒビが入る展開になるのではないかと予想もされる。
(本当に原作はまったくの未読で、今後の展開も知らないのです。見当違いならすいません)

とりあえず、第2期の実質的な物語スタートとなるであろう、次回が楽しみである。

冴えない彼女の育てかた♭ #0「恋と純情のサービス回」感想

今期唯一リアルタイムで追っかけていく予定のアニメである。
よく知らない方には、いわゆる萌えとかそっち系のキモブタ御用達のアニメと見られているようだが、それは大きな誤解である。

が、誤解を増長させるような回を初っ端に持ってくる心意気は良し。
まあさすがにフジテレビ系での地上波初回にコレを持ってくることは出来ないだろうが。

第1シーズンの0話同様、タイトル通りのサービス回のフリをして存分に眼福を与えて、後半パートではサークルメンバーそれぞれ作品作りには真剣に向き合っている様子を描き、ああ素晴らしいチームだなあと晴れやか爽やかな気持ちにさせてくれるという構造。
その辺も含めてのサービス回といえるのかもしれない。
あと、前期ダイジェストのOPも気が利いているなあと。 



舞台はお台場のプール付きの高級ホテル。二期発進に向けて、メタ的な会話を交わすところから幕開け。
こんなところに、美女5人とやって来てくんずほぐれつのお楽しみとか、現実の世界でコレを実現させるにはどれぐらいの地位に上り詰める必要があるのか見当もつかない。
しかも女性たちはビジネスでやってるわけではないときている。そんな桃源郷は一体世界のどこにあるのか。

そんな異次元級の幸福を享受している安芸倫也くんだが、二次元の女の子にしか興味ないと、もはや自分に言い聞かせてるだけのような信仰もあって、デレデレすることもなく、振り回されてひたすら困惑するばかり。
観ている方としては、何なのコイツとしか思えない。水着の前が膨らんでいる描写が見当たらないのも不自然である。あ、そういうことなのか? それなら色々合点がいくが。お気の毒。

それはさておき、こういう回だけあって作画は気合い入りまくりで嬉しい限り。まあ崩壊作画で水着回やったところで、サービスもクソもないわけだが。

とりわけ後ろ姿の書き込みが何というか。

もう、ありがとうございます、としか言いようがない。

楽し羨ましの中、女性たちの肉体的魅力ばかりでなく、キャラクターとしての特徴もしっかり描かれており渋滞していないのは見事。

肉感的にぶつかってくる氷堂美智留
搦め手から抜け駆けしようとしてくる霞ヶ丘詩羽
そいつらにカリカリする澤村・スペンサー・英梨々
ひっくるめて冷ややかな目でみる加藤恵

それぞれ魅力あるキャラクターだが、ひとつ言えることがあるとしたら、やっぱ無いより有る方が良いかなってことだろうか。英梨々には申し訳ないが。

そんな最中、波島出海がやってきて、まともに対面したのは初めての英梨々とバチバチ。何気に今後に向けて結構な重要シーンなのでは。
ここでの二人を対比してみても、やっぱ無いより有る方が……

後半パートでは、詩羽先輩の抜け駆けがいつものごとく失敗し、カラオケにメンバー集合。

それにしても、この展開、この会話で、倫也が詩羽先輩や英梨々に想いを寄せられていることに気づかないとか絶対有り得るわけないよなと。男って、ちょっと親しげに口きかれただけで「この女、俺に気があんのかな?」と勘違いする生き物よ。
「鈍感男」ですべて片付けるのも無理があるかと。 



美智留の作ってきたゲーム用BGMを聴き、クリエイターモードに切り替わり、恵いわく「いい感じ」になる英梨々と詩羽先輩。
個人的にはこの空気こそがこの作品の最大の魅力。

映画とかドラマとかアニメとか、大勢の人間が製作に携わる作品の現実。
作り手が1人加わるごとに、意図が1つ増えるごとに、しがらみも1つ増え、妥協が生まれ、作品は少しずつ不本意なものになっていく。
部分的に相乗効果が生まれることは勿論ある。が、結果出来上がりとして素晴らしい作品も作れたとしても、必ずどこかで誰かが理想を妥協している。

「冴えない彼女の作り方」シリーズで描かれるのはその逆の創作風景。
お互いリスペクトし合っているクリエイターたちが、プロデューサーの理想を体現すべく、全力を尽くし、妥協せず作品を作っていく。

まあ、そういうテーマを美少女ハーレム物という下敷きに乗せる必要があるかと言われれば返答に詰まるところだが、観ていて心地良く、面白いのだから仕方がない。

なので、この作品は決してキモブタ御用達の、ちょっとエッチなオカズ系アニメなんかではなく、自分もまたそのような下賎な目線では観ていないことを理解していただければ幸甚である。
なので、あのメンバーの誰が好きとかいう議論もまったくのナンセンス。


あんな子たち、お相手できるなら誰でも良いに決まってんだろ。

柊あおい 「星の瞳のシルエット」1巻 感想 (前編)

ブログ開設第一弾に取り上げたのは、柊あおいの伝説的名作漫画「星の瞳のシルエット」

かつて全国250万乙女のバイブルと呼ばれた少女漫画を、40間近のオジさんが読んで感想をブログに書き連ねる。
客観的に見て、気持ち悪いと謗られても仕方のないところだろう。

めげずにおおよそ30年物のりぼんマスコットコミックス版を再読。
懐かしさと愛おしさと、そしてやはり面白さに溢れた作品である。

 


◎夜空を見上げる三人

 

 物語は、夜の帰り道、星空を見上げる香澄、真理子、沙樹の3人の会話から始まる。

夜空の星の中でいちばん明るい星・シリウスを見つめ、遠い記憶を思い起こす香澄に対し、地面に落ちている100円玉を獲得し喜んでいる真理子。
彼女が長い長い歩みを経て、結局全天に輝く一等星のような想い人とは結ばれなかったが、地味ではあっても確かな益をもたらす男の子との縁を獲得することを暗示しているのだろうか。
そんな強引な解釈を交わしたりしなくとも、やがてこの三人の関係がぐちゃぐちゃになり、苦悩を抱え、想いをぶつけ合い、そして再生をしていく物語を知る身としては、一種の感慨を抱く冒頭である。

主要人物七者七様、恋と友情とに散々揺れ動き、葛藤し、苦悩を抱え、それぞれ精一杯の思いで行動し、絡み合ってまたややこしいことになったりドツボにはまったり。

そんな長い長い物語は、静かに始まった。

 

 

◎想い出と再会

 

朝の登校シーン。わずか3ページで三人娘+司の人となりや関係性が大体わかる、見事なイントロダクションとなっている。
しっかりしているように見えて、忘れ物が多く、ドジなところがある沢渡香澄。彼女のこの特性は、中学時代の間は物語を進める重要な要素の一つとなる。
ケーキ屋の案内を見て表情を輝かせる森下真理子。
団地で隣同士の泉沙樹と白石司は、朝から悪態をつき合いながら競走するように登校。司は、少女漫画の世界にのみ時折生息が確認される、学校のモテ男ポジションである。
なお、スケッチブックの存在で、三人娘と司が違うクラスであることをあらわすあたり芸が細かい。

きっといつものように楽しい学校生活。真理子が好きな人ができたことを二人に伝える。

「あのね…1組の久住くん。きゃ~~ん、いっちゃったぁ(はぁと)」

親友二人に、自分の好きになった人をカミングアウトする真理子は、恋の喜びで溢れている。こんな幸せな恋心が、香澄を、久住を、司を、そして真理子自身をも長く長く縛り付けることになるとは、この時点で誰も知らない。

そんな真理子をはじめ、みんな恋とか片思いとかソワソワする年頃、14歳。
じゃあ自分は……と、星のかけらをもらったあの日の記憶を思い起こす香澄。
自分には宝物のような想い出を塗り替えるような恋なんてやってくることないだろうなと。そんな気持ちでいたところに、出会いが訪れる(実は再会)。

弓道場にてすべって転んで放り投げてしまった鞄を受け取ってくれた男の子。
どっからどう見ても、ついさっき自分が回想した記憶の中の少年が成長した姿なのだが、香澄は気付かずにただときめくばかり。

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あれっ、あのときのあの子やん! とはならないものだろうか。

弓道姿に惹かれ、てへっと舌を出した表情に射抜かれるやいなや、その人が真理子の想い人である久住智史くんであると知らされ、ちょっとがっかり。

ちなみに、このとき久住くんの方は、沙樹が香澄の名前を呼んだことに反応し、これが出会いでなく再会であることに気付いている。
こういう「視点人物の主人公よりも、実は相手の男の子の方が先に意識をしている」というのは少女漫画でよくある構図な気がする。同作者の天沢聖司なんてその典型かと。

 


◎募る想いとクッキングクラブ

 

生徒手帳の一件や、早朝練習する姿を目の当たりにしたりで、急速に久住くんを意識し始める香澄。こりゃ完全に惚れてますわの状態になりつつある中、真理子の提案でクッキングクラブを作ることに。

調理室の窓から弓道場が見える=毎日久住くんが見れる→調理室を使用したクラブ活動を始めよう!

よくよく考えたら、なかなか凄まじい発想と行動力だなと。

異様に理解があり、また活動中に顔を出すわけでもない、とんでもなく便利な顧問も確保し、楽しく料理本を購入し、いよいよ活動開始。

こうして久住くんを毎日見るためのナイスアイディアは実現に至り、幸せいっぱいの真理子だったが、これが香澄と久住くんをも接近させることに繋がるとは、露ほども思っていないのだった。


当初、作品全体で感想記事書こうと思い、再読を始めたものの、こりゃ1巻1記事のペースでいかないと書ききれないなと思い直して、いざ書き始めたところ第1話だけで1記事になってしまった……

まあ初回なのである程度は丁寧にいかないと仕方ないだろうか。次回からもう少しサクサクとやっていけるかなと。