全手動かんそうき

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冴えない彼女の育てかた♭ #2「本気で本当な分岐点」感想

具体的に何がってこともなく、なんとなーく忙しい雰囲気で過ごしていたところ、気づいたら前回の更新から1ヶ月以上過ぎており、録画もガンガン積まれてしまっている始末。

こりゃあかん、時間は作り出すもの。
世の中舐めプでも十分幸せに生きていけそうな美貌の女子高生作家が、朝方までゲームのシナリオを執筆して目にクマを作りながらも、男とのデートに臨む黄金の意志を見せてくれているのだ。
世間様からの需要など何ひとつ存在しない身の上としては、アニメ観て感想を紡ぐぐらいのことは、ちゃんとやってかなあかんなと。

◎アバン

朝方のシナリオ脱稿。
あー終わった、終わってくれた、疲れたー、寝れる、今から寝れるんだ、しっかし疲れた。そんな安堵の気持ちがよく伝わってくる。
そんな状態でも、プロデューサー兼最愛の人への連絡は怠らない女性作家の目にはクマができ、疲れた表情も妙に色っぽい。

若干のヤンデレ感なんかも演出しつつ、お兄ちゃんならぬ倫理くんに約束の確認。
 


◎Aパート

唐突な物語シリーズのパロで困惑させてくるから油断ならない。確かに詩羽とガハラさんは、見た目も中身も近似性はあると思ってはいたが。

余談だが、乏しい経験上、相手から持ち出されない限り本屋デートはやめといた方が良いと思う。

結局、物語シリーズ全巻という結構な荷物をお買い上げしジュンク堂的な店を後にする二人。大人買いできる財力羨ましい。
そして、椅子を立つときの詩羽のスカート直しのコマ数には敬意を表さずにはいられない。



一方、当然のごとく二人の動向を嗅ぎつけ、尾行しているストーカー女と、そいつに呼び出されてわずか30分でやって来た加藤。付き合いが良く、準備に時間のかからない良い女である。

ランチ中、倫理くんを誘惑するでもなく偽物語をむさぼり読む詩羽、食欲よりも性欲よりも知識欲らしい。大きな仕事を成し遂げた後は普通性欲な気もするが、一流は違うのだろう。

更に知識欲を満たすため、詩羽がリクエストした進撃の巨人やガッチャマン的な映画ではなく、「あの雪のプリズム」なるTVアニメの続編映画を鑑賞する二人と、後をつけるもう二人。
池袋で一度見失った尾行対象を見つける加藤の卓越した能力を、英梨々は「おいしいとこだけかっさらってく抜け目のなさ」と言い表す。割と核心をついているかもしれない。

ところで、ここでの各々の映画の感想はかなり興味深い。
演出やら作画やらキャラクターやらの良い部分を褒める倫也、その辺りは認めつつもシナリオの甘さを指摘する詩羽、自分の良いように解釈して号泣する英梨々。
詩羽が倫也に良いものは良い悪いものは悪いと言える目と勇気を持つように告げる重要シーンっぽいが、一方でこの辺りの各人の感性の相違は面白いもんだなあと。
きっと自分なりの感想はあるだろうに、特にそれを表すことはしない加藤も含めて。

人によっては生涯足を踏み入れることが無いであろう、夜景の見えるいかにも高級なレストランでディナーする高校生男女。
学内のヒエラルキーでは下位に位置づけられているであろう倫也だが、実は大抵のクラスメイトには及びもつかない体験を平気でこなしていたりする。

自分の仕事は終え、これからはなかなかサークルに顔を出せないかもしれない、進路も考えないといけないと、詩羽は切り出す。楽しかった夢は終わり、現実の時間。
遠くに行くか、近くに留まるか。眼前の相手に、どうしてほしいかと問う詩羽の可愛さときたら。綺麗よりも美しいよりも、このときの彼女は可愛かった。

勿論、ここでのやりとりに至っては、ストーカー兼賑やかしの者など介入させてもらえない。せいぜいブラひもサービスして存在をアピールするのが精一杯。

倫也の出した答えは「行かないでほしい」
この手の葛藤パターンでは、不正解とされることが多い(例・「君に届け」のケント)答えだが、当作品ではどうなのか。
自分の手に届くところに留めようとするということは、相手の可能性を潰してしまうかもしれないことである。それだけの覚悟が彼にはあるのだろうか。
「悪い倫理くんね」詩羽はどういう思いを持ってこう言ったのだろう。
そんなプロデューサー兼ディレクター兼最愛の人に、また一つの決断を委ね、帰ってゆく詩羽。電車の轟音にかき消された言葉は、届くことなく。
 


◎Bパート

翌日曜日の朝、安芸家にやってくる女子2名。
英梨々が、昨日加藤に選んでもらった服を着てくるあたり、個人的に彼女を序列4位においている身としても、ついついニヤついてしまうキュートさ。

ごく当たり前のように安芸家の合鍵を持っている加藤を目の当たりにし、激しく動揺する英梨々。
これって取りようによっては、女同士のえげつないマウンティング行為とも解釈できるよなあとか思ったり。

詩羽が出してきた改稿は、とても素晴らしい、とても泣ける、そしてメインヒロインが交代してしまい、作品全体の解釈もガラッと変わってしまうという、問題を孕んだ代物だった。
全てやり直し、これまで積み上げてきたものをすべてひっくり返してしまうようなものを提示され、文句を言いつつも、その出来は認めている英梨々のタコ口が可愛いことはさておいて。

シナリオ担当の詩羽が突きつけてきたこの問いに、プロデューサー兼ディレクターの倫也がどういう答えを出すのか……

そんな折、ライバル? キャラの波島兄妹が怪しく蠢動し、ホットしるこでも飲んで……

非常に興味を惹かれる形で次回に続いたわけで、3話を観たのが約1ヶ月後になってしまった慮外者はこのブログ主ぐらいのものであろう。

◎ED

妄想キャリブレーション『桜色ダイアリー』という加藤目線で作詞された歌にのせて、坂での出会いから始まった一期の名場面がやさしいタッチで描かれる。
うん、これ好き。

◎所感

全編詩羽とのデート回ってことにしてくれても良いほどに、連れ回される倫理くんを見るのは楽しかったが、それを前半で収めてしまい、いよいよ核心に向け動き出す物語って感じで、ついつい感想ブログも大長文になってしまった。

ひとつ難を言うと、前期から丁寧に描写はしてくれてるし、今回の話では熱く熱く語ってくれているものの、劇中ゲームの設定にイマイチのめり込めないところがあって、シナリオ改変、ヒロイン交代劇がそのまま流れていってしまってる感が否めないかなと。
その点、カレカノ(漫画)の14daysの舞台劇は凄かったなぁとか思ったり。

単に自分が散漫な意識で観ているだけなのかもしれんけど。