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冴えない彼女の育てかた♭ #3「初稿と二稿と大長考」感想

大きく本放送に遅れをとっている当感想記事。こういうのは放送翌日ぐらいにはアップして、送り手受け手ともに盛り上がれるのが理想系なのは自明の理。
とはいえ、今から追いつくのはなかなか厳しい。せめてこれ以上離されないよう、そして自分と同様遅れて視聴している方や何周も観る方にとってグッドタイミングなものになると嬉しいなあと思ったりしつつ。

◎アバン

波島兄妹との対峙。
主人公を慕っていた後輩が、闇堕ちして敵に回る的な緊迫感溢れる場面。加藤はどこ吹く風で、一人だけ画面効果も及ばない模様なのがいちいち面白い。

なお、この手の展開は類例がいくらでもある筈だが、何故か最初に浮かんだのが、R.J.7に混ざってた浦辺で、その次が夢の超人タッグ編だったあたり、いかにイイ歳こいたオッさんがこのブログを書いてるかが知れる。

◎Aパート

場所を変え、公園で高校生が言い争いしたり、キャットファイトしたり。
なかなか日常とはかけ離れた光景ではある。

相変わらずマイペースの加藤は、若干距離をおいておしるこを啜って。
なお、みんなで仲良く同じものを飲んでいた模様。

推測だが、アバンで波島妹が「寒くなりましたね」と言った後に、兄が「みんなでホットしるこでもどうだい? 」と振舞ってくれたのではないだろうか。いいやつ。

出海を巻き込む伊織を許せない倫也を許せない英梨々が蹴りを入れたり、後頭部にデコピン(?)をしたり。
これを可愛らしいと感じるかうざいと感じるかは議論が分かれるところか。

そんな英梨々は己と対決するために敵に回った出海と、言葉の応酬からの肉弾戦。
ギャグっぽくポカポカの叩き合いとしていたが、絆創膏が必要になるほどの殴り合いなんて実際は相当えぐかったと思われる。

かくして。
blessing software 対 rouge en rouge
安芸倫也 対 波島伊織
柏木エリ 対 波島出海
という対立構図が出来上がる。

シナリオ担当の霞詩子に対抗できる持ち札はなかろうと自信満々の倫也に、不穏な台詞もとい優しいヒントを投げかけてくれる波島兄。何というか、初登場の時からだが、倫也とこの人の間には友情めいたものしか感じない。


学校の教室にて改めてシナリオを読み耽る倫也にカレーパンとコーヒーを買ってくる加藤。小銭入れを受け取り、必要な金銭を取り出すその熟練夫婦のごとき姿に、友人Aことヨシヒコ君も若干引き気味。
前回の合鍵といい、本人の意識のほどは不明だが、着実に正妻の座につきつつあるのだなあと、思わず目も細まる。

倫也は、ただでさえどちらのシナリオを採用すべきか悩んでいたところへ、波島兄の言葉を聞いて、更に考え込む。
何度読んでも神シナリオ。が、気に食わないヤローではあるが、見る眼は確かな男がシナリオでは負ける気がしないと断言した、一体どういうことなのか……
敵対しつつも波島兄の眼と言葉にはきっちり信頼を置いているあたり、やはり妙な形ではあるが友情だなあと。


一方、加藤は詩羽の呼び出しを受ける。倫也の動向を気にしてもじもじしている詩羽は、加藤が言うには「何だかリアクションがいちいち可愛くて、霞ヶ丘先輩らしくない」様子。
どうやら詩羽は2つのシナリオに何らかの想いを託しているらしいが……

余談だが、このシークエンスでは、学園祭の準備にいそしむ生徒たちの姿が描かれている。(主人公たちはそれにはノータッチだが)
こういう青春の輝きみたいなのって、何というか、見ていて心が押しつぶされそうになるので、気を強く持たないと見ていられない。


都電での帰り道。今度は加藤がシナリオと睨めっこし、詩羽が込めた意味を読み解くべく専心する。
倫也の「いつものフラットで投げやりな加藤らしくないぞ」という言葉には「えっと、認識が間違ってる上に、実際そうやってデリカシーのないこと言われるとムカっとくるよね」と、やはりフラットな感じで応接。
前の場面で、詩羽が加藤に返した「間違ったことは言っていないと思うけれど、実際そうやって身も蓋もないことを言われると腹立たしいわね」という台詞と対をなしていて面白い。

結局のところ、ゲームとしてプレイしてみなければわからないとの倫也の言葉を受け、加藤は男子の家への外泊を即決。
どちらのシナリオがより良いか、そしてどういう意味が込められているか、詩羽のメッセージを読み解くべく。
いつになく積極的な加藤。彼女もサークルのメンバーとして、やれることを探しているんだなぁと。
 



◎Bパート

一晩にわたる作業はCM中に終了。進行は捗々しくなく、空回りだったかと落ち込む加藤を励ましつつ「ゲームのシナリオはゲームで読まなくちゃ良いか悪いかわからない」と、どうやら核心ぽいことを口にする倫也。
そんな彼の言葉を耳に、眠りに落ちる加藤。そこにあるのは安心と信頼。コイツなら手を出して来ないだろう、という信頼かもしれないが。

しばしのお休みタイムを打ち破ったのは、今期テレビでは初登場の氷堂美智瑠。
相変わらずの暴力的なまでの肉感である。

勘違いして倫也を締め上げ、目を覚ました加藤が更に勘違いを誘発。
なお、テーブルでうたた寝した加藤をベッドに移したのは当然倫也であろうが、どうやったのか、お姫様抱っこでもしたのかと気になるところ。

チキンライスか何かの、グリーンピースをよけて食べたのは、ペットボトルの位置から見るに、おそらく美智瑠だろうと推測される。

実にどうでも良さげな一コマだが、こういうところでサボらずキャラクター性を表現するのは大事なこと。

美智瑠来訪という機を逃さず、icy tailメンバーを呼び出させる倫也。世の中には、バンドメンバーに集合をかけ、音楽活動と関係のない雑作業に長時間従事させるというブラックマネージャーが存在するらしい。
哀れ、彼氏とのデートをキャンセルさせられるエチカ。ウルトラブラック。

それにつけても、女子ばかりが入れ替わり立ち替わり出入り・宿泊していて、両親は高校生の息子のことを色んな意味で心配にはならないのだろうか?
そもそもああいう部屋が出来上がってる時点で、普通の親なら頭抱えて然るべき。
理解と信頼があるのか、無関心か。まあ家出してきた美智瑠を居候させるあたり、きっとこの子にしてこの親あり、みたいな変わった人ではあるのだろう。おそらく登場することは無いと思われるが。


所変わって、英梨々の家に必要なPCを借りにきた加藤。
そういう素振りは見せなかったものの、どうやら原画の方は順調とは言えない様子。

チームでの作品作りとはいえ、己の担当においては孤独な戦いであることが偲ばれる。


安芸家での夜を徹しての作業。
大変そうでもあり、どこか楽しそうで羨ましくなるような、経済活動とは関係ないところでの、仲間たちで取り組むお仕事。
Aパートで差し込まれていた学祭準備とリンクしており、もうこういった経験をする機会は永遠に無いであろうオジさんの胸を締めつけてくる。

ここでの美智瑠は、完全にドラクエでいうところの遊び人、電気グルーヴがN.O歌うときのピエール瀧といった役回りで、作業においては全く役に立っていない。
そんな奴が、差し入れに真っ先に飛びつくというのは世の常。

チームにおいてはこういう存在が割と重要だったりする。
そして、こういう人は自分の能力が発揮できる段になると、俄然人が変わったように無双の働きを見せたりするもの。音楽担当として輝きを見せてくれるのを楽しみにしたい。

週末を徹しての作業を終え、出来上がったゲームをプレイしてみて、倫也は愕然。何かに気付いた模様。

まあ、これは確かに……という感じだろうか。
 



◎Cパート

学園祭当日。ちゃっかりステージでライブなんてやってるicy tailさんなど盛り上がりを見せる学舎の屋上、倫也はディレクターとして、シナリオ担当の詩羽に向き合う。

答えを待つときの詩羽の表情。何を意味するのか、どんな答えを待っているのか。

赤でびっしりダメ出しが書かれたシナリオを取り出し、倫也は冷徹に告げる。

「どっちも選べない。リテイクだ。クソゲーだよ、これ」

◎所感

タイトルでは大長考といってるものの、考えるより行動! で立ち向かうのは若者らしくてとても良い。
着地点もなるほどねと。何故ボツかは次回語られるのだろうが、まあ、優れた文学性も媒体によってはそれが邪魔になるんだろうなってトコですかね。

シナリオに、良し悪しとは別の意味を込めて選択を委ねた詩羽が、倫也の出した答えを受けて何を言うか、どうなってしまうか。

よくテレビアニメは最初の3話まで見て切るかどうか決める人がいるそうだが、ここで切ってしまうとかあり得るのだろうか。